美術教育にまつわる数字・・・備忘(1)

美術手帳2001年3月号「特集 日本の美術と教育」に、興味深い調査結果が載っていた。

当時の文部科学省初等中等教育局視学官遠藤友麗氏は「これからの美術教育の充実・発展を考えた改訂」と題した文のなかで、今回の学習指導要領改訂のための基礎資料となった「美術科についての意識調査」について次のように述べている。


この意識調査は全国の美術担当指導主事の協力を得て行った調査で、各都道府県・政令指定都市すべてを網羅し、生徒の回答者数は一年生から三年生まで計14,623人という膨大な数に上った。また中学校教師の回答者数も800人に上った。ここにそのうちの一部を紹介する。

[あなたは美術の時間になにを期待していますか」という問いでは、

第一位が「形や色が思い通りにできるような技術を教えてほしい」で5,816人、
第二位「自由にやらせてほしい」5,482人、
第三位「美術館に連れて行ってほしい」3,849人という結果であった。

また、「あなたは自分の作品に満足していますか」という問いのうち、「満足していない」(36パーセント)の生徒に「満足していない理由」を問うたところ、

第一位が「もっとうまくなりたい」(56パーセント)、
第二位「色が思い通りにできない」(46.5パーセント)、
第三位「形が思い通りにできない」(43.8パーセント)、
第四位「どのように表現すればよいのかわからない」(38.3パーセント)であった。

これならの結果から、中学生が美術の授業に望んでいることは、

(1)形や色が思い通りに表現できる基礎技術を身に付けたい。
(2)もっとうまくなりたい。
(3)もっと自由に表現したい。
(4)美術館に行って鑑賞したい、

などであることがわかった。

また教師の解答については偶然にも生徒の意識を反映するかのように「生徒が基礎的技能を確実に身につけられるよう指導すべき」という回答がダントツに多かった。

この意識調査の結果と(中略)、改訂を前に美術は学校教育でなくともよいのではとか、思ったように描いたり作ったりできないと言う人たちの考えとぴったり符号している。このことはこれまでの美術科が、自由にとか、創造的にとか、流行的な表現などとことさら自由表現に流れすぎ基礎的な能力の定着をないがしろにしてきた結果、基礎も身につかないで苦手意識をもつ多くの人たちを輩出してしまったことを私たちは謙虚に反省しなければならない。基礎的能力の育成は学校教育における重要な課題なのである。   (以上引用)


表現する意欲の維持と確かな技術の獲得。このふたつの課題を実現するためには、いずれかに偏ることなく、子供の成長に応じて適切に指導できるカリキュラムと指導者の育成(もしくは意識改革)が必要である。




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